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第263回 地方採用におけるSNS戦略の本質と、“道具”を活かす企業の魅力づくり

2026/03/19

先日、日本経済新聞に「若手採用へSNS駆使、段階ごとに動画・発信社員には手当 岡山企業」という記事が掲載されました。
若者の県外流出が深刻な岡山県において、県内企業が採用力を強化するためにSNSを積極的に活用しているという内容です。
記事では、プロパンガス販売や地方銀行といった、一般的に「堅い」イメージを持たれがちな業種であっても、エントリーのきっかけ作り(TikTok)から、具体的な業務理解(YouTube)、そしてリアルな社員の日常発信(Instagram)まで、採用の段階ごとにSNSを戦略的に使い分けている様子が紹介されていました。
さらに注目すべきは、自身のSNSアカウントで自社の魅力や働き方を積極的に発信する社員に対し、「SNS手当」を支給して発信活動を後押ししている企業の取り組みです。

この記事は岡山県の事例を取り上げていますが、決して対岸の火事ではなく、日本全国の地方都市に共通する切実な課題を浮き彫りにしています。
優秀な若手人材が大都市圏や全国規模の有名企業へと流出してしまうのは、残念ながら今の日本の構造的な事実として受け止めなければなりません。
弊社のクライアントにも、地方に本社を構える優良企業や歴史ある老舗企業が多くいらっしゃいますが、かつては地元での採用に強かった銀行やインフラ関連企業でさえ、現在は人材の枯渇に深く悩まされています。
採用活動での苦戦に加え、入社後の早期離職も重なり、現場の皆様が非常に大変な思いをされているお話を日々伺っています。
今や、新卒・中途を問わず、SNS戦略を抜きにした採用活動は成り立たない時代になったと痛感します。

この厳しい状況を打開する一手として、SNSの強化は企業にとって避けて通れない道です。
しかし、ここで勘違いしてはいけないのは、SNSはあくまで情報を届けるための「手段(道具)」に過ぎないということです。
本質的に重要なのは、企業としての発信力を高め、求職者に自社のリアルな魅力を知ってもらうことです。
記事にあったように、採用ターゲットにとって説得力のある若手・中堅社員自身が主体となって発信することは、非常に有効なアプローチです。
彼らの発信力を高めるために、手当を支給したり、外部から講師を招いてSNS講座を実施したりといった企業の工夫は素晴らしいと思います。
会社側が採用や人材育成に対して「本気」で取り組んでいる姿勢が社員にも伝わり、組織全体の活性化にもつながるからです。

実際、弊社でも若手社員を対象とした「リクルーター研修(自身の母校などへ向けた採用広報活動のトレーニング)」をご提供していますが、他者に自社のことを自分の言葉で語るプロセスを通じて、社員自身の自社理解が深まり、結果として発信力が飛躍的に高まることは実証済みです。
教えること、伝えることが、最大の学びになるのです。
だからこそ、忘れてはならないことがあります。
SNSという「道具」がいかに優れ、見せ方が上手くなったとしても、伝えるべき「中身」が伴っていなければ全く意味がないということです。
表面的な動画の編集テクニックを取り繕って入社してもらっても、リアルな現場とのギャップがあれば、必ず早期離職という形ではね返ってきます。

私たちが本当に向き合うべきは、企業そのものの魅力の底上げです。
風通しの良い組織風土、働く社員の人間力やスキル、そして共感できる企業の将来ビジョン。
こうした「本質的な価値」をしっかりと磨き上げていく泥臭い取り組みが、デジタルのアピール合戦が激化する今だからこそ、より一層求められているのです。
弊社も、人事教育コンサルタントという立場から、ただのスキル研修にとどまらず、組織の根幹となる「魅力づくり」を通じて、お客様の採用活動や人材定着に直接的に寄与できるような提案を、これまで以上に行っていくべきだ。
オンラインという強力な武器を使いこなしながらも、最後は「人」と「組織」の力で選ばれる企業づくりをご支援していきたいと、強く感じている今日この頃です。

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