あの甘じょっぱい味で知られる亀田製菓の「ハッピーターン」が、2026年に発売50周年を迎えました。2025年度の出荷実績は100億円を超え、過去最高を記録。半世紀前の商品が、いまなお成長を続けています。
長寿の理由は、単に「昔から変わらない」からではありません。守ってきたのは、ハッピーパウダーが生む唯一無二の味と、食べた人を少し幸せにするというブランドの芯。一方で、2005年の「パウダーポケット製法」、2007年の「パウダーキャッチ製法」、さらに50周年でのオイル配合の見直しなど、おいしさの届け方は細かく磨き続けてきました。
もう一つ興味深いのが、消費者がブランドを思い出すきっかけ「カテゴリーエントリーポイント(CEP)」を増やす戦略です。マクドナルドやカルビーとの商品コラボ、ローソンの「からあげクン」、牛角のメニュー、京急のラッピング電車。米菓売り場の外に、いくつもの「思い出すスイッチ」を置いています。
狙うのは、子どものために買っていた親が、「今日は自分が食べたい」と手を伸ばすこと。ロングセラーにとって、本当の競争相手は他社商品だけではありません。生活の中で思い出されなくなることなのです。
企業変革というと、古いものを壊して新しくする話になりがちです。しかし、核が明確だからこそ、その周りは大胆に変えられる。ハッピーターンが教えてくれるのは、伝統と革新が反対語ではないということでしょう。
変えない味の周りを、変え続ける。50年後も選ばれる会社には、そんな“甘じょっぱい”しなやかさが必要なのかもしれませんね。