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高松 秀樹

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第302回:学生店長を、誰が支える

2026/10/02

大学の授業を終えたら、約30人が働く店舗の店長へ。

家電量販大手のノジマが、アルバイトとして勤務する大学生2人を、10月1日付で店長に任命します。同社初の「学生店長」です。

予算管理や店員の採用などの権限を持ち、店長手当も支給されます。責任だけでなく、権限や待遇も通常の店長と同等にする取り組みです。

川崎市の店舗を任されるのは、専修大学経営学部3年のKさん。将来は経営者を目指しており、これまでの販売実績や接客姿勢が評価されたそうです。

この登用を前向きに捉える理由は、十分にあります。

「学生だから」「アルバイトだから」という括りで、できる仕事を制限しない。実際の働きぶりを見て、役割と処遇を決める。

教室で学ぶ経営と、目の前の店舗を動かす経営。その両方に取り組めることは、本人にとって貴重な経験になるでしょう。

ノジマは2026年度の新卒採用でも、一定のアルバイト経験があり、高い成果や提案力を持つ学生を対象に、各種手当込みで初任給を最高40万円とする「出る杭入社」を設けています。

今回の学生店長も、年齢や雇用形態より、能力や実績を評価する姿勢の表れといえそうです。

一方で、手放しで喜ぶ前に、気になることもあります。

Kさんは、授業のない日や終了後を中心に、週40時間程度働く予定と報じられています。

大学で学びながら、店舗の数字、人の採用、スタッフの育成にも向き合う。その負担は、決して小さくありません。

待遇を同じにすれば、学業との両立まで自動的に解決するわけではないのです。

試験期間には、誰が店を支えるのか。難しい人間関係やトラブルに直面した時、誰に相談できるのか。本人が働き方を見直したくなった時、役割を調整できるのか。

販売に優れていることと、人を育て、組織を動かせることにも、違いがあります。

だからこそ、登用後の育成や、周囲のスタッフを含めた支援が大切になるのでしょう。

「まだ学生なのだから」と、挑戦の扉を閉じる必要はありません。

同時に、「本人がやりたいと言っているから」と、支える責任まで本人に預けてしまってもいけません。

ノジマが学生に店舗を任せたことは、若い人の可能性を信じる一歩です。

その一歩が長い成長につながるかどうかは、任命された2人の頑張りと、会社の支え方にかかっています。

若い店長が育つ店舗とは、若い店長を支える人たちも育つ店舗なのかもしれません。

「学生なのに店長」から、「あの人だから店長」へ。

そんなふうに受け止められる日を、楽しみにしたいのであります。

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