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加倉井 正和

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第130回 カスタマーハラスメント

2023/06/05

今週は、月曜日更新の星さんに替わり、
火曜日担当の私が更新させていただきます。

ハラスメントとは、人に対する「嫌がらせ」や「いじめ」などの迷惑行為を指します。
言動によって相手を不快にさせたり不利益を与えたりするなど、肉体的・精神的な苦痛を与え、人間としての尊厳を侵害する行為の総称です。
社会情勢に合わせて、様々なハラスメントが生まれている状況だと考えられます。
現在では、50種類以上のハラスメントがあるとされます。

その中でも、悪質なクレーマーの名称として
「カスタマーハラスメント(略:カスハラ)」が、
2010年代の前半から用いられるようになりました。

厚生労働省は2022年にカスハラ対策マニュアルを作成しており、
“顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・様態が社会通念上不相当なものであって、当該手段・様態により、労働者の就業関係が害されるもの”
と記載されています。

パターン(型)としては、
長期間拘束型・・・客が従業員に対し、長時間クレーム対応を強いる
リピート型・・・電話などで同じ内容や無意味な質問などを繰り返し問い合わせする
暴言型・・・怒鳴り声をあげたり、馬鹿、死ねなどの侮辱的発言をしたりする
暴力型・・・蹴る、殴る、胸倉を掴むなどの身体への接触だけでなく、椅子や棒を振り回す
威嚇脅迫型・・・従業員に危害を加えることを予告して怖がらせる
権威型・・・やたらと威張って要求を通そうとする
店舗外拘束型・・・客の自宅や特定の喫茶店などに呼びつけてクレームを言ったり、謝罪を要求する
ネット中傷型・・・通話を無断で録音ないし撮影し、写真や音声、動画をSNSなどにアップロードし、従業員の名誉やプライバシーを侵害する
などがあります。

クレームは、顧客が消費者として商品・サービスに対する不満や改善点を指摘するところが根幹にありますが、カスハラの場合は、商品・サービスの改善を特に求めず、顧客の個人的な行動で行われるケースが多くあります。

現在は、企業のみならず役所も対応指針を明確にしています。

福岡県警は、市民から嫌がらせに近い不当な行為を受けるケースを想定して、全国で初めて警告を含む独自の「カスタマーハラスメント対策」を設けたと発表しました。

・飲酒状態で警察署に居座り続ける
・トラブルに対応した警察官に「ぶっ殺すぞ」などと暴言を吐く
・電話対応に「無能、ばか、あほ、警察署に火をつける」などと発言
・「いつも警察に協力しているから見逃せ」と特別扱いを要求する
・「お前では話にならない署長を呼べ」と要求する
・電話対応で「通話内容をネットにさらす」と発言し対応した警察官を威圧する

アンケートに答えた警部以下の約8割が「カスハラ」の対応に苦慮し、そのうち4割は眠れなくなったり、入院したりするなど心身に支障を来しているそうで、離職にもつながっているそうです。

きっと、背景としては多様なサービス提供や電子機器の発達による影響もあるかもしれません。

ともあれ、企業はお客様に喜んでいただく為に企業努力をしています。
また、人間は間違いをする生き物でもあります。
受け手として、「当たり前」になるのか「満足、感謝(ありがとう)」するのか。

よく「逆の立場で考える」というフレーズがありますが、
提供側がお客様を考えるだけでなく、
受け手側も提供側を考えることが当たり前になれば、
もっと良い社会になるかもしれませんね。

ちょっと腹が立つ事柄にも、
どのような気持ちを持って行動するかが大切なことかもしれません。