12月17日、「大阪王将」が“ドーナツ業界”に参入しました。
発売されたのは、その名も『ぎょーナツ』。
餃子の皮を生地に使用したドーナツで、チョコレートや麻婆豆腐味など5種類が展開されています。
「餃子味」にはニンニクが効いており、まさに“食べると餃子、見た目はドーナツ”という一品です。
なぜ、餃子専門店がスイーツ市場に挑戦したのでしょうか。
その背景には、意外なほど戦略的な発想があります。
商品開発のきっかけは、工場で発生する餃子の皮の端材と、グループ会社ベーカリーのパン生地の余りを組み合わせた“アップサイクル”でした。
さらに、ドーナツはフライヤーさえあれば調理でき、出来立てを提供しやすいというオペレーション上の利点も見逃せません。
この「ぎょーナツ」は一見すると変わり種に見えますが、丸亀製麺の「うどーなつ」など、近年外食企業が“既存の強み”を活かして新市場に挑む流れに沿った取り組みです。
餃子の皮という既存資源と、製麺・製パンのノウハウを活用することで、まったく新しい「スナック」の需要を掘り起こしています。
また、おやつや手土産として新たな来店動機を生み出し、従来とは異なる客層を取り込むことも期待できます。
原価や調理のシンプルさを考えれば、収益性の高い「サイド商品」としても有望です。
これは、ドーナツ専門店「ミスタードーナツ」が中華・飲茶を展開してきた発想とも共通しています。
外食業界はいま、「主力メニューありき」から、「多様な使われ方に応える場づくり」へと確実に進化しています。
大阪王将の「ぎょーナツ」は、その象徴的な一歩と言えるのではないでしょうか。