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第280回 「仕事を回す人」と「仕組みをつくる人」―強い組織は両方を活かす
2026/04/29
組織の生産性を議論する際、
よく議題に上がるのが
「仕事を回す人」と
「仕組みをつくる人」の
役割の違いです。
この二つのタイプは
決して優劣の差があるわけではなく、
組織の両輪として
機能すべき存在です。
しかし、多くの企業では
どちらか一方に価値が偏り、
結果として
組織の成長が
停滞してしまうケースが
少なくありません。
まず「仕事を回す人」、
つまり既存の仕組みの中で
働く人々は、
組織の安定を支える
不可欠な基盤です。
彼らは
明確に定義されたタスクを、
ルールや手順に基づき、
高い精度と効率で
遂行します。
日々の業務を
滞りなく完結させ、
確実に
成果を積み上げる
彼らの専門性と正確さこそが、
企業の信頼を
維持しています。
現場のオペレーションが
揺るぎないからこそ、
会社は収益を
上げ続けることが
できるのです。
しかし、
その視野が
目の前のタスクに
限定されがちなため、
プロセス全体の
不合理や環境の変化に
気づきにくいという
側面もあります。
対して
「仕組みをつくる人」は、
現状に常に疑問を持ち、
課題を発見して
システムそのものを
再構築する役割を担います。
彼らには、
特定の部署に閉じない広い視野と、
未来を見据えた
洞察力が求められます。
新しいアイデアを
形にする過程で
リスクを取ることもありますが、
その変革こそが
持続的な成長を可能にします。
ただし、
現場の細かな実務感覚を
欠いた仕組みづくりは、
かえって現場を混乱させる
机上の空論になりかねません。
仕組みをつくる側が、
現場の負荷や
感情を無視しては、
組織としての実行力は
失われてしまいます。
強い組織をつくるための人事戦略は、
この両者のバランスを
最適化することにあります。
仕組みの中で
着実に成果を出す層が
現場を支え、
その安定感の上に立って
仕組みをつくる層が
絶えず革新を追求する。
この補完関係を
機能させるためには、
お互いの強みを
正しく評価し、
連携を促す文化が必要です。
「言われた通りに動くのが美徳」
とする文化でも、
「現場を無視して改革を叫ぶ」
文化でも、
組織のエンゲージメントは
向上しません。
特に
変化の激しい現代においては、
単に命令に従うだけでなく、
現場の違和感を
仕組みの改善に繋げられる
人材の育成が急務です。
理想的なのは、
実務に精通しながらも
全体を俯瞰し、
問題解決に
主体的に関与できる人材です。
現場の苦労を知っているからこそ、
真に機能する仕組みがつくれます。
このような人材を
次世代のリーダーとして見出し、
育成していくことが、
組織の競争力を高める
核となります。
仕事を回す安定感と、
仕組みを変える創造性。
この二つを
組織内でいかに共存させ、
昇華させるか。
それが、
持続可能な成長を実現するための
人事の使命です。
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