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深山 敏郎

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第78回 職場チームのレジリエンス(5)チームのリソース活用

2022/12/13

前回は「チーム目標と組織目標」についてお話してきました。
今回は「チームのリソース活用」というテーマでお話をします。
このコラムシリーズでは、やれSMARTコンセプトやらリソースやら、普段あまり目にしない用語が多くて恐縮です。

リソースとは資源のことです。
資源とは一般にヒト、モノ、カネ、情報などと定義されます。
ここでは経験も重要なリソース、つまり資源である、と捉えます。

職場チームのリソースの鍵は「経験」

職場チームのリソースは、職場を経営するための資源全般を指します。
その上で、非常に重要な要素として個人の経験、チームの経験をあげて検討してみましょう。

個人の例をあげるとすれば、子育てをした経験は、いろいろな局面で役立ちます。
現在子育て中の両親の気持ちも分かりますし、子育て中の苦労を知っていることから、そうした渦中にある人たちへの高い共感性を持ち合わせているかもしれません。
個人やチームとしての経験は確実に重要なリソースです。
ヤングケアラーの経験があることも、少子高齢社会においては、大きな意味を持つのではないでしょうか。

チームメンバーのリソースを理解しているか

このコラムシリーズでは、よく私たち経営者やマネジャーの先入観の恐ろしさについて触れてきました。
思い込みということと同じ意味ですね。
私たちは次のような先入観を持っていませんでしょうか。
「上司(である私)は、部下のことを良く理解している。もちろん、部下の仕事上の能力についても把握している」と。

部下と日頃、どれだけ深い話し合いをしているかによって状況は異なります。
例えば、上司が自らの経験を語るのと同じように、部下が自らの経験を語る機会を作っているでしょうか。
公の場でも結構ですし、また、プライベートな場でも良いのです。

The Ritz-Carlton(リッツカールトンホテル:以下、リッツと省略)では、朝礼で自分たちの守るべきルールと結び付けて自らの経験を語る時間を設けている、と聞いたことがあります。
名刺くらいの紙を3つ折りにしてコーティングしたカードを各自が持っています。
その中に、リッツの信条(哲学)や行動基準があります。その20種類の行動基準を現場レベルで理解し、行動に結びつけられるように、朝礼で行動基準と自らの行動について一人ひとりが話す場があるわけです。
そうした場では、自らの経験が公の場である朝礼で語られ、共有されます。
感動あり、知恵ありという場なのだと想像します。
こうした場を、私たちはどれだけ持っているでしょうか。

チームメンバーのリソースを活用する

チームの目標立案の段階から行動計画の作成、日々の行動、そして振返り、必要に応じて軌道修正をするといった一連のプロセスで、職場の各メンバーがどのようなリソースを持っていて、有効活用されているのかを検討してみてはいかがでしょうか。

例えば、対話の得意な人から営業トークに入る前の(潜在)顧客との話の糸口をつかむコツを学ぶことが出来るかもしれません。
ITが得意な人を部署・チーム内講師として上司や先輩がいろいろと教わることによって、チームの生産性も格段に高くなる可能性もあります。
コンピュータグラフィックを得意とする人によるデザインなども営業資料等のイメージアップ等に有効でしょう。
こう考えれば、各自が自分の個性(ここでは経験や将来の夢を含む)を最大限に生かして職場に貢献することが出来るでしょう。

そのためには、まず私たちが先入観を一旦休ませてメンバーのリソースをしっかりと把握することが必要です。

レジリエンスの高い人の特徴を詳しく知りたい方は、拙著:「レジリエンス(折れない心)の具体的な高め方 個人・チーム・組織」(セルバ出版)などをご覧いただければ幸いです。

toshiro@miyamacg.com (筆者:深山 敏郎)
株式会社ミヤマコンサルティンググループ
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