例えば、社員を家族のように思っている!という情熱。
一見、素晴らしい感じがしますが、果たしてそれを喜ぶ人ばかりなのか?
そういう関係が好きな人もいれば、苦手な人もいます。
最初から「うちは、全員が家族だ!縁あって社員になったからには、どんな相談にも乗ってる、そんな社風です。」などとお伝えし「それが好き!あっている!」と言う人だけを採用しているのであれば、とっても素敵なことだと思います。
しかし、しっかり伝えずに「社員を家族のように思っている!」と言う情熱を押し付けたとしても、相手の受け取り方は自由なんですよね。
他の情熱でも同じことが言えます。
「どうして、この想いが伝わらないんだ!」ともどかしく感じている経営者の声をたくさんお聴きします。
その情熱は本当に素晴らしい!素晴らしいことなのですっ!
しかし、伝え方には工夫が必要。伝え方次第で、響くか空回りするか決まります。今日は、どうしたら伝わるのか?を4つのトピックスでお伝えします。
1.もどかしくなる瞬間
会議や会話の時に、距離感や温度差を感じることはありませんか?
例えば、
・建設的なアイデアを伝えても、いつも「でも・・・」と言い訳から始まる。
・目標や夢を明確にして、チャレンジしてみろ!と言っても、受動的。
などなど。
つい、
「そんな気持ちで働いていて、楽しいの?人生のほとんどは仕事なんだよ?自分の人生なんだ。自分のためにもっと能動的になればいいのに!」
なんて、言いたくなる。
そんなことはありませんか?
2.なぜ伝わらないのか?
「社員にもっと成長してほしい!」「仕事を通じていい人生にしてほしい!」そんなふうに感じているからこそ、もどかしい気持ちになるのだと思います。
『親心、子知らず』ですね。でも、その親心は、とても素敵な心だと私は思うのです。
なのに、なぜ伝わらないのか?
まず、一番大きな要因は「経営側の視点と社員の視点は、全く違うから」です。
視点が違うのに、同じものをみて、同じように感じている相手だと思って伝えてしまう。
それが一番大きな要因です。
同じ言葉を伝えても、全く違うふうに感じたり受けとったりしています。
それはお互いに、です。
視点や立場が違うから。
まずは、そこを認識することが必要です。
こうして文字で読むと「そんなこと、わかってる!」と感じるかもしれません。
でも会議や会話では、つい忘れがちなんですよね〜。
3.わかって欲しい!が伝わらない原因
さらに、わかって欲しい!伝えたい!と言う情熱で、切り口を変えたり、例え話をしたりして、伝えよう、伝えよう!わかって欲しい!と・・・
やればやるほど「うざい」「もうやだ」などと社員との距離は離れるばかり・・・
こんな悲しいすれ違いを、私は少しでも無くしたい!
4.情熱の伝え方
さぁ、そこで大切なのは『伝え方』です。
一方的に伝えても、ほとんど伝わりません。それに、たくさんのことを伝えてもほとんど伝わりません。
伝えたいことを一つ(1)インタラクティブ(双方向)に(2)
これが原則です。
(1)なぜ、自分はそれを相手に伝えたいのか?目的は?大切にしている想いは?それを明確にして話し始めること。
(2)そのことについて、相手はどう感じているのか?相手の状況や環境、タイミングはどうなのか?
この、たった2つを意識するだけで、もどかしさはだいぶ軽減されます。
例えば、前述した2つのことを例に書いてみます。
社員を家族のように思っている
(1)なぜ、自分はそれを相手に伝えたいのか?目的は?大切にしている想いは?
会社に入社するということは、大きなご縁だと思っている。
そのご縁を大切にしたい。
家族のような関係を育てたい。
その結果、みんなで助け合える、成果を喜び合える一致団結した社風になって欲しい。
(2)そのことについて、相手はどう感じているのか?相手の状況や環境、タイミングはどうなのか?
家族のような関係が苦痛と感じる人がいるかもしれない。
他にも様々な価値観があるかもしれない。
まずは、会社で望む人間関係を一人一人に聞いてみよう。
その上で、みんなで助け合える、成果を喜び合える一致団結した社風にするには、どうしたらいいのか、みんなで話し合ってみよう!
→このように、
・ご縁を大切にしたいと経営者は思っている。(押し付けではなく想いの共有)
・目的を達成するために、みんなが気持ち良い方法を話し合ってみよう!(インタラクティブ)
仕事を通じていい人生にして欲しい
(1)なぜ、自分はそれを相手に伝えたいのか?目的は?大切にしている想いは?それを明確にして話し始めること。
たった一度の人生、その人生のほとんどが仕事をしている。
だから、仕事を通じて自己成長して欲しい。
それは、会社にとっても、社員一人一人にとっても、幸せなことだと思う。
目的は、いい人生にして欲しいし、会社にも貢献してほしい。
(2)そのことについて、相手はどう感じているのか?相手の状況や環境、タイミングはどうなのか?
一人一人の話を聞いてみると、
・仕事はきっちりこなし、プライベートを充実させたいと言うタイプ
・時間内に、やるべきことはやって、趣味に情熱をかけているタイプ
・仕事が好きで、仕事を通じて自己成長したいタイプ
他にもたくさんのタイプ、価値観があります。
目的は、
『目的は、いい人生にして欲しいし、会社にも貢献してほしい。』
だとしたら、
『仕事はきっちりこなし、プライベートを充実』『時間内に、やるべきことはやって、趣味に情熱』でも、目的は達成しますよね。
このように、
想いは想いとして、しっかり伝える。
その想いの先にある、なぜ、それを伝えたいのか?
目的を伝える。
目的を達成する道は無限にあります。
経営者の想いを共有し、社員一人一人の価値観を尊重し、目的を達成する道を、みんなで創造する喜びを、対話を通じて感じて欲しいな、と私は感じています。
とはいえ、
手強い社員、色々な価値観の社員、介護など様々な事情を抱えている社員、本当にやる気のない社員、など。
特に中小企業には、本当にいろんな背景の社員がいます。
そんな色々な価値観・背景の社員、視点も立場も違う社員に、情熱を伝えて、みんなに伝わるわけがありません。
そこをしっかり自覚した上で、
伝えたいことを一つ(1)インタラクティブ(双方向)に(2)
ここを意識して、実践してみてくださいね!
今までとの違いを感じたら、ぜひ教えていただけたら嬉しいです!