HACHIDORI NO HANE(ハチドリのはね)HPトップ

星 寿美

ホーム > 星 寿美 > 記事一覧 > 第112回 社長の情熱は、社員に伝わるのか?

第112回 社長の情熱は、社員に伝わるのか?

2023/06/19

例えば、社員を家族のように思っている!という情熱。
一見、素晴らしい感じがしますが、果たしてそれを喜ぶ人ばかりなのか?

そういう関係が好きな人もいれば、苦手な人もいます。
最初から「うちは、全員が家族だ!縁あって社員になったからには、どんな相談にも乗ってる、そんな社風です。」などとお伝えし「それが好き!あっている!」と言う人だけを採用しているのであれば、とっても素敵なことだと思います。

しかし、しっかり伝えずに「社員を家族のように思っている!」と言う情熱を押し付けたとしても、相手の受け取り方は自由なんですよね。

他の情熱でも同じことが言えます。
「どうして、この想いが伝わらないんだ!」ともどかしく感じている経営者の声をたくさんお聴きします。

その情熱は本当に素晴らしい!素晴らしいことなのですっ!

しかし、伝え方には工夫が必要。伝え方次第で、響くか空回りするか決まります。今日は、どうしたら伝わるのか?を4つのトピックスでお伝えします。

1.もどかしくなる瞬間

会議や会話の時に、距離感や温度差を感じることはありませんか?
例えば、
・建設的なアイデアを伝えても、いつも「でも・・・」と言い訳から始まる。
・目標や夢を明確にして、チャレンジしてみろ!と言っても、受動的。
などなど。

つい、
「そんな気持ちで働いていて、楽しいの?人生のほとんどは仕事なんだよ?自分の人生なんだ。自分のためにもっと能動的になればいいのに!」

なんて、言いたくなる。
そんなことはありませんか?

2.なぜ伝わらないのか?

「社員にもっと成長してほしい!」「仕事を通じていい人生にしてほしい!」そんなふうに感じているからこそ、もどかしい気持ちになるのだと思います。
『親心、子知らず』ですね。でも、その親心は、とても素敵な心だと私は思うのです。

なのに、なぜ伝わらないのか?
まず、一番大きな要因は「経営側の視点と社員の視点は、全く違うから」です。
視点が違うのに、同じものをみて、同じように感じている相手だと思って伝えてしまう。

それが一番大きな要因です。
同じ言葉を伝えても、全く違うふうに感じたり受けとったりしています。
それはお互いに、です。
視点や立場が違うから。
まずは、そこを認識することが必要です。

こうして文字で読むと「そんなこと、わかってる!」と感じるかもしれません。
でも会議や会話では、つい忘れがちなんですよね〜。

3.わかって欲しい!が伝わらない原因

さらに、わかって欲しい!伝えたい!と言う情熱で、切り口を変えたり、例え話をしたりして、伝えよう、伝えよう!わかって欲しい!と・・・

やればやるほど「うざい」「もうやだ」などと社員との距離は離れるばかり・・・
こんな悲しいすれ違いを、私は少しでも無くしたい!

4.情熱の伝え方

さぁ、そこで大切なのは『伝え方』です。
一方的に伝えても、ほとんど伝わりません。それに、たくさんのことを伝えてもほとんど伝わりません。

伝えたいことを一つ(1)インタラクティブ(双方向)に(2)
これが原則です。

(1)なぜ、自分はそれを相手に伝えたいのか?目的は?大切にしている想いは?それを明確にして話し始めること。

(2)そのことについて、相手はどう感じているのか?相手の状況や環境、タイミングはどうなのか?

この、たった2つを意識するだけで、もどかしさはだいぶ軽減されます。
例えば、前述した2つのことを例に書いてみます。

社員を家族のように思っている
(1)なぜ、自分はそれを相手に伝えたいのか?目的は?大切にしている想いは?

会社に入社するということは、大きなご縁だと思っている。
そのご縁を大切にしたい。
家族のような関係を育てたい。
その結果、みんなで助け合える、成果を喜び合える一致団結した社風になって欲しい。

(2)そのことについて、相手はどう感じているのか?相手の状況や環境、タイミングはどうなのか?

家族のような関係が苦痛と感じる人がいるかもしれない。
他にも様々な価値観があるかもしれない。
まずは、会社で望む人間関係を一人一人に聞いてみよう。
その上で、みんなで助け合える、成果を喜び合える一致団結した社風にするには、どうしたらいいのか、みんなで話し合ってみよう!

→このように、
・ご縁を大切にしたいと経営者は思っている。(押し付けではなく想いの共有)
・目的を達成するために、みんなが気持ち良い方法を話し合ってみよう!(インタラクティブ)

仕事を通じていい人生にして欲しい
(1)なぜ、自分はそれを相手に伝えたいのか?目的は?大切にしている想いは?それを明確にして話し始めること。

たった一度の人生、その人生のほとんどが仕事をしている。
だから、仕事を通じて自己成長して欲しい。
それは、会社にとっても、社員一人一人にとっても、幸せなことだと思う。
目的は、いい人生にして欲しいし、会社にも貢献してほしい。

(2)そのことについて、相手はどう感じているのか?相手の状況や環境、タイミングはどうなのか?

一人一人の話を聞いてみると、
・仕事はきっちりこなし、プライベートを充実させたいと言うタイプ
・時間内に、やるべきことはやって、趣味に情熱をかけているタイプ
・仕事が好きで、仕事を通じて自己成長したいタイプ
他にもたくさんのタイプ、価値観があります。

目的は、
『目的は、いい人生にして欲しいし、会社にも貢献してほしい。』

だとしたら、
『仕事はきっちりこなし、プライベートを充実』『時間内に、やるべきことはやって、趣味に情熱』でも、目的は達成しますよね。

このように、
想いは想いとして、しっかり伝える。
その想いの先にある、なぜ、それを伝えたいのか?
目的を伝える。

目的を達成する道は無限にあります。
経営者の想いを共有し、社員一人一人の価値観を尊重し、目的を達成する道を、みんなで創造する喜びを、対話を通じて感じて欲しいな、と私は感じています。

とはいえ、
手強い社員、色々な価値観の社員、介護など様々な事情を抱えている社員、本当にやる気のない社員、など。
特に中小企業には、本当にいろんな背景の社員がいます。

そんな色々な価値観・背景の社員、視点も立場も違う社員に、情熱を伝えて、みんなに伝わるわけがありません。

そこをしっかり自覚した上で、
伝えたいことを一つ(1)インタラクティブ(双方向)に(2)

ここを意識して、実践してみてくださいね!
今までとの違いを感じたら、ぜひ教えていただけたら嬉しいです!