昨今、スマートフォンやタブレットに慣れ親しんできたワカモノが増える一方で、パソコン操作が苦手な新入社員の方が目立つようになりました。
タッチパネルや音声入力が当たり前の世代にとって、キーボード入力やマウス操作は決して自然なものではありません。
確かに、IT技術の進化によって将来的にはパソコンのあり方も変わっていくでしょう。
しかし、現時点のビジネス現場ではPCスキルがなければ業務に支障をきたすのが現実です。
入社から1ヶ月。
仕事の流れが少しずつ見えてきた一方で、「自分はまだまだPC操作が不安だ」「業務スピードについていけるか心配だ」という声も多く聞こえます。
では、どうすればスキルを効率的に身につけていけるのでしょうか?
スキルの習得には、段階的なステップがあります。
「知る」→「わかる」→「できる」→「安定してできる」→「工夫ができる」→「人に教えられる」このプロセスを意識することが、成長のための基本です。
先週のコラムでは、「メモをとる」ことの重要性について触れました。
これは、「知る」「わかる」「できる」というステップを確実にするための非常に有効な手段です。
ただし、「できる」とはあくまで“1回やってみて実行できた”というレベル。
これをもってスキルが定着したとは言えません。
スキルが“定着した”と言えるのは、「安定してできる」ようになった段階です。
つまり、再現性があり、一定の品質で、ミスなく繰り返し実行できるようになったとき、初めて職場でも信頼される“使えるスキル”となります。
では「安定してできる」ためにはどうするか?
答えはシンプルです。
何度も繰り返しやること。
これに勝る方法はありません。
たとえば、メールの作成であれば、件名、本文、締めの言葉など、パターンを変えて何度も練習する。
報告や連絡、相談(報・連・相)のタイミングや話し方も、上司に伝える前に一度頭の中でシミュレーションしてみる。
資料作成であれば、参考資料を真似てでもいいので繰り返し作ってみる。
仕事における「得意・不得意」は、実は「慣れ・不慣れ」に過ぎません。
私自身も20代で転職したとき、PC操作に不慣れで苦労した経験があります。
朝早く出勤してタイピングの練習を繰り返し、WordやExcelでの資料作成にも積極的に挑戦しました。
当然、残業になることもありましたが、続けるうちに“普通にできる”状態にはなりました。
もっとも、今は残業時間が厳しく制限されている時代です。
加えて、人手不足で先輩や上司のフォローも十分ではないこともあります。
そうした状況の中では、限られた時間で効率よく上達する工夫が求められます。
そのために、現時点で取り組んでほしいことが2つあります。
1つ目は、気づきや学びをその都度「言語化」すること。
頭の中を整理することで、理解が深まり、カンやコツが明確になります。
言語化できれば、再現性が高まり、他人にも説明できるようになります。
2つ目は、ショートカットキーを覚えること。
PC操作には「近道」があります。
たとえば、コピー&ペーストやウィンドウの切り替え、保存や検索など、基本的なショートカットを使うだけでも作業スピードは格段に上がります。
慣れれば操作に迷うことが減り、ストレスも軽減されます。
どんな業種・職種であれ、PCスキルやITリテラシーの向上は、今後ますます重要になります。
苦手意識を持たず、まずは基礎から丁寧に積み上げていく姿勢を持ちましょう。
焦らず、着実に、成長を実感できるビジネスパーソンへとステップアップしていってください。