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岩田 徹

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第231回 環境の変化に立ち向かう

2025/05/23

広島県にある横川商店街。
Jリーグのサンフレッチェ広島が開業した新スタジアムで大きな影響を受けた商店街です。
商店街の最寄えきであるJ R横川駅は、
旧スタジアムへ向かうシャトルバスの発着地。
観客の15%(約2500人)が使っており、試合前後に一定数が商店街へ流れ、
賑わいを見せていました。
しかし、街なかスタジアムを標榜して建設された新スタジアム。
J R横川駅からも徒歩18分とのことですが、人の流れが変わることは明白でした。
実際に私も新スタジアムに訪問しましたが、
広島駅から路面電車に乗って原爆ドーム前の駅を降りると、
旧広島球場の跡地ではイベントが開かれていて、それを通り過ぎるとスタジアムは目の前。
広島空港からリムジンバスを使うと、スタジアム近くの広島バスセンターに到着。
そこからも徒歩圏内でスタジアムにはアクセスできます。
正直、横川駅の存在は知りませんでした。

年間で20試合ほどではありますが、商店街の集客の肝である観客の流れが変わるのは
横川商店街にとっては大きな危機です。
そんな状況下で商店街も黙って指を咥えている訳にもいきません。
サンフレッチェ広島と協力し、様々な企画を立てました。
クラブスタッフが汗をかきながら、クラブカラーである紫の旗を立て、
サンフレッチェカラーに染めて商店街を演出。
クラブ応援店を募集し、ユニフォーム着用で割引、
スタンプラリーやシールラリーなどの企画、
夜間の試合の帰路の安全のために街灯の整備、路面の改修など、
様々な施策を打ちました。

クラブも新スタジアムの開業で街を元気にしたい想いは大きいと思います。
ですが、スタジアムの立地が変わることで人の流れが変わることは必然。
開業により地域が活力を失っては本末転倒。
地域の応援があるからこそのクラブであり、地域に支えられているからこそ、
強いチームにもなり得ます。

開業1年目の平均観客数は25,609人。
収容率は90.3%とリーグ1位を記録。
スタジアムは活況を呈しています。
危機に直面した横川商店街もピンチをチャンスに変え、賑わいを見せているようです。

立地条件など、変えられないものに捉われて文句を言うのではなく、
自分たちの工夫やアイデアなど、変えられるものに注力して努力し改善する。
横川商店街やサンフレッチェ広島の取り組みは企業経営の大きなヒントになりますね。