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岩田 徹

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第268回 恩送り

2026/02/06

ダルビッシュ有選手。
今や日本だけでなくメジャーリーグも代表するピッチャーです。
ですが右肘の怪我の影響があり、今シーズンは全休が決まっています。
2023年に6年契約を結んだことで、残り3年間、約66億円の契約が残っています。
が、投げることのできない状態でお金は貰えないと、
契約破棄を球団に持ちかけているダルビッシュ選手。
相手へのリスペクトや、恩義を強く感じて感謝でお返しする、
ダルビッシュ選手らしい申し出だと思います。
一方で長期契約期間内での怪我による契約破棄という前例を作りたくない
メジャー選手会の気持ちもわからなくはありません。
怪我がつきもののプロスポーツ選手ですので、実績を認められての長期契約は、
選手であれば獲得したいものと想像されます。
契約の話はまとまっていないようですが、どちらにしても、
ダルビッシュ選手の完全復帰を期待しています。

そのダルビッシュ選手の日本ハム時代のエピソード。
高校を卒業し、将来を嘱望され日本ハムに入団したダルビッシュ選手。
しかし入団してまもなく、未成年でありながらパチンコ店での喫煙問題が発覚し、
球団から処分を受けたことがあります。
問題児のイメージがついたため、コーチ陣からは睨まれ、チームメイトからは敬遠されてしまいました。
そんな中、ダルビッシュ選手の才能を認め、若い才能が一つのスキャンダルで潰されるのは
野球界にとっても損害であるという思いから声をかけたチームメイトがいます。
それが新庄剛志さんです。
ある時、練習の合間にトイレに行こうとしたダルビッシュ選手が、
「お前、またタバコやろ!」
とコーチに呼び止められる姿を目にしたそうです。
さすがにもう吸っていないだろうと思っていた新庄さんですが、
ダルビッシュ選手には、タバコを吸うにはちょうどいい秘密の場所を教えたり、
臭いを消すためのタブレットや香水もアドバイスしたそうです。
また積極的に食事にも誘い、他の仲間との間に入り輪を作っていきました。
そうするうちに才能を発揮し、球界を代表する投手になったダルビッシュ選手。
前回のWBCではチーム最年長として、また、唯一のWBC優勝経験者として、
その経験をチーム内にどんどん伝えていきました。
また食事会も主催し一体感を生み出し、チーム力を高めていくことに尽力されました。
劇的な優勝の裏には、ダルビッシュ選手の献身が間違いなくありました。
そして、そういった行動、振る舞いができたのは、
若い時に新庄さんから受けた恩義が、ダルビッシュ選手にはあったのだと思います。

直接的に恩返しすることも大切ですが、
自身がいただいた恩を、他に送ることで恩が繋がっていく。
それが脈々と受け継がれ、強い組織が維持継続、発展していく。
そんな一例なのではないでしょうか。
今年のWBCにダルビッシュ選手は不在ですが、
前回優勝を経験した選手たちと、新たに選出された選手がうまく融合し、
新たな日本代表として、錚々たるメンバーを揃えた強豪他国に堂々と立ち向かっていただきたいです。

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