AI時代、なぜ「質問する人」が嫌われるのか
2026/04/12
先日、とある社員から相談を受けました。
プロジェクト先で積極的にコミュニケーションを取ろうとしたものの、うまくいかなかったという話です。
雑談も含めて関係性を築こうと動いた結果、「それ、調べれば分かるよね。今はAIもあるんだから」と上長に言われてしまったそうです。
本人としては、前向きに関係を作ろうとした行動でした。
しかし結果的には、空回りしてしまったそうです。
この話を聞いて、単純に「本人のコミュニケーション能力の問題」と片付けるのは違うと感じました。
むしろ、今の時代特有の“ズレ”が起きていると感じています。
“分からないことは聞け”が通用しなくなった
少し前まで、「分からないことはどんどん聞け」というのが当たり前でした。
むしろ、聞かないことの方が問題とされることも多かったと思います。
しかし今は違います。
AIや検索環境が整ったことで、「調べれば分かること」を人に聞く行為は、相手の時間を使う行為として捉えられるようになってきています。
つまり、時代の変化によって「質問すること」そのものの価値が変わっているのです。
では今回のケース、何が問題だったのでしょうか。
それは「質問したこと」ではなく、「相手の時間の使い方を設計できていなかったこと」だと思います。
コミュニケーションというと、「たくさん話すこと」「積極的に関わること」と捉えられがちです。
しかし実際には、相手の立場や状況を踏まえて、どう関わるかを考える行為です。
特に忙しい現場では、相手の時間は非常に価値の高いリソースです。
そこに対して無意識に負荷をかけてしまうと、どれだけ善意の行動であってもマイナスに働いてしまいます。
コミュニケーションは“量”ではなく“質”で決まる
では、どうすれば良いのでしょうか。
ポイントはシンプルで、「質問の質」を変えることです。
例えば、「これ、どうやるんですか?」という質問は、相手にゼロから説明する負荷をかけてしまいます。
一方で、「自分なりに調べてみて、こう理解したのですが、この認識で合っていますか?」という聞き方であれば、相手は“確認”だけで済みます。
この違いは小さく見えて、実は大きい。
前者は“依存”、後者は“思考した上での対話”です。
もう一つ重要なのが、「雑談」の捉え方です。
関係性を築くために雑談は有効ですが、無目的な雑談は、相手にとっては単なる“割り込み”になることもあります。
逆に、相手の状況を踏まえた一言や、共通点を意識した会話は、短時間でも信頼につながります。
つまり、雑談もまた「量」ではなく「質」が問われる時代になっているということです。
今回の社員の行動は、決して間違っていたわけではありません。
むしろ、関係を築こうとする姿勢は非常に重要です。
ただ、そのアプローチが今の環境に合っていなかった。
ここに、育成の難しさがあると感じています。
「積極的にコミュニケーションを取れ」と言うだけでは不十分で、“どう関われば価値になるのか”まで設計して伝える必要があるのだと思います。
AI時代に問われる“対話の質”
AIが普及した今、情報を得る手段は大きく変わりました。
その結果、「何を聞くか」よりも「どう聞くか」が重要になっています。
そしてこれは、単なるコミュニケーションスキルの話ではなく、相手の時間や状況を想像する力、つまり“仕事の本質”にもつながる話です。
AI時代に評価されるのは、質問する人ではなく、“考えた上で対話できる人”です。
あなたのその質問は、相手の時間に見合う価値がありますか?
一度立ち止まって考えてみることが、これからの時代には求められているのかもしれません。
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