「レモンタルト、ピクルス風味です」
そう勧められたら、少し戸惑いませんか。
ローソンが9月29日から関東・甲信越で発売する、生成AIのアイデアをもとに開発した商品の一つです。
ほかにも「酒種あんバターヨーグルトパン」「混ぜて食べる 和風パフェサラダ(ビーフン入り)」と、名前だけでは味を想像しにくい商品が並びます。
開発のテーマは、意外な組み合わせや、思わず「なんだこりゃ?」と感じる驚き。そして、食べてみたらおいしいこと。
興味深いのは、アイデアを出す段階で、過去の販売実績や市場データを使わなかったという点です。
商品開発では、売れた商品の分析や、お客様の好みを知ることが大切です。しかし、実績を重視するほど、見慣れた組み合わせに近づいてしまうこともあるのでしょう。
今回は、AIに意外な発想を求め、そのアイデアを起点に、人間の担当者が試作と検証を重ねました。
味や見た目のバランスを調整し、商品として仕上げていったのです。
AIが発案したと聞くと、人間の出番が減ったようにも感じます。
しかし、この取り組みから見えるのは、出てきた案を選び、試し、お客様に届けられる味へと磨く、人の仕事です。
思いつくことと、おいしくつくれること。その間には、まだ多くの工夫があります。
もっとも、AIも、いずれ味の成分や食感を瞬時に分析し、人がおいしいと感じる組み合わせを、今以上に精度よく予測するようになるかもしれません。
そうなれば、「AIは、味見ができない」というタイトルも、書き直しが必要になりそうです。
ただ、おいしさには、成分だけでは語りきれないものもあります。
仕事を終えたあとの一口。懐かしい人と囲む食卓。隣の誰かが「これ、おいしいね」と笑う顔。
同じものでも、食べる時や場所、一緒にいる人によって、感じ方は変わります。
AIが考え、人が仕上げた、少し不思議なレモンタルト。
まずは誰かと、「本当においしいのかな」と言いながら食べてみたくなります。
食べる前から、おいしさの正解が分かってしまう未来は、便利なのでしょう。
でも、それはそれで、少々“味気ない”気もするのであります。