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星 寿美

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第50回 部下が自走し成長する方法〜伝え方編(2/3)〜

2022/03/28

私は、この35年間、人を自立・自走させるためには、どうしたら良いか?を探求・実践してきました。
おかげさまで、多くの中小企業で、組織を『自走組織』に変革しています。

社員一人一人が自立・自走し、組織で成果が出せる私と、他の『教育者』たちとは何が違うのか?これから『考え方・伝え方・問い方』の3回にわたり説明します。

今日は2回目、伝え方編です。

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答えを相手に気づいてもらう質問で引き出すことが基本だとしても『今、ちゃんと気づいて欲しい!』『伝えたい!』というタイミングはあるかと思います。

例えば、改善のために、何かをやってみようと決めても、いつの間にかやらなくなっている・・・そんな習慣がついている社員たちに、
『一番成果が出せるコツは続けることだ!』と伝えたいとき。

そのまま「続けることが大事だ。君たちは途中で辞めてしまうから成果が出ないんだ!」とそのまま伝えても成長してくれません。叱られたと感じたり、言い訳されるのがオチ。

また、頑張っているのに成果が出なくて士気が下がっているチームに「もう少し頑張れば大丈夫!」な〜んて言っても効果はないですよね?

では、そんな時どうしたらいいのでしょう?

私は物語の力を借ります。

全く関係のない主人公の、全く関係ない内容だけれど『伝えたいことに、それぞれが気づける』そんな物語を伝えます。

物語は50以上のストックがありますが、日々アンテナをたてて仕入れているので、増え続けています。
人から聞く話や、読んだ本など素材は無限にありますから!

その中の、私が大好きな物語を1つ紹介します。(大好きな物語がたくさんあって、選ぶのに、とても迷いました)

「まず、実践することが大事ですよ〜」と伝えたい時の物語です。

『手がかり足がかり』

まず実践が大事っていうけれど、その実践ってどういうことなのか?
それが『手がかり足がかり』ということです。

ほんの些細な手がかり、例えば「このことについては、あの人が詳しそうだから聞いてみよう。」とふと思ったら、その人に聞きに行く。

ほんの些細な足がかり、例えば「そうだ、自分なりの考えをまとめてみよう。」とふと思ったら、それをやってみる。そして周りの人に伝えてみる・・・

そうやって、ほんの些細な手がかり足がかりで、少しずつ登っていく。
それは、本当に些細なことだから、進んでいる気がしないかもしれない。
でも、些細な手がかりを頼りに行動していく。

気づくと、だいぶ上に登っている自分に気づく。ふと下を見ると・・・

下には、たくさんの人が見える。その人たちは「何かうまくいく方法はないかな?」って『うまくいく方法』を探している。

下にいる誰かが、自分に気づき下から声をかける。

「お〜い!どうやってそこまで登ったの?やり方を教えて〜!」

でも、やり方なんてないですよね?ほんの些細な手がかり足がかりで一歩ずつ登ってきた、そのプロセスは、その時々に自分には必要なプロセスだったけれど、万人に利く方法ではないのだから・・・

『手がかり足がかり』というお話でした。あなたはどう感じましたか?

結論まで言わずに物語として伝える

「だからまず行動することが大事だということです!」などと結論で締めない。

「あなたはどう感じましたか?」という問いで終わらせる。すると、一人一人が自分自身に照らし合わせて考えてくれます。

さて、物語のいい点は、3つあります。

1.自分の話ではないので変な抵抗が生まれないという点

「あなたは、こうだ!」「あなたはこうするべきだ!」などと『あなた』『あなたたち』『名指し』で伝えてしまうと、責められていると感じたり、違うと感じたり、心に抵抗が生まれます。その抵抗が邪魔をして、伝えたい真意が伝わりづらいのです。でも物語は、自分とは全く関係のない人が主役の話。主役すらいない物語もあります。だから心に抵抗感なく客観的に聞いてもらえます。

2.物語というもの自体が、つい聞いてしまう習性があるという点

人間は、物語を聞いてしまう習性があるのです。古くは聖書やギリシャ神話など1000年以上も語り継がれているものもあります。映画やドラマ、小説など、人は物語が大好きですよね?小さな子どもたちは絵本の読み聞かせが大好きです。
物語は、話に引き込まれる習性を、そもそも持っているのです。

3.一人一人が自分ごとで考えてくれる点

聞き手が、物語を自分ごとで捉えます。自分自身に照らし合わせて考え始めます。人から「まずやってみることが大事だから、やってみなよ!」と言われるより、自分自身に照らし合わせて、自分で「よし、まずはやってみよう!」と思うことには、天と地の差があります。

人は、自分で気づいて、自分で決めたことは、行動し成果を出そうとします。自分で気づいて、自分で決めることは、とてもパワフルなことなのです。

今回は、部下が自走し成長する方法〜伝え方〜について説明しました。いかがでしたか?次回は『問い方』について説明します。