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星 寿美

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第51回 部下が自走し成長する方法〜問い方編(3/3)〜

2022/04/04

私は、この35年間、人を自立・自走させるためには、どうしたら良いか?を探求・実践してきました。
おかげさまで、多くの中小企業で、組織を『自走組織』に変革しています。

社員一人一人が自立・自走し、組織で成果が出せる私と、他の『教育者』たちとは何が違うのか?これから『考え方・伝え方・問い方』の3回にわたり説明します。

今日は、いよいよ最終回の『相手を自立させる問い方編』です。

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昨今『質の高い質問が大事』『質問力を磨こう』などと、よく言われるようになりました。
もちろん、その通りで、質問によって引き出される答えの質、もたらされる結果が変わります。

なので、質の高い質問は重要です。
さて、その質問には『質問と発問』の2種類があります。
まずその違いについて解説します。(よく言われるオープン・クローズドクエスチョンとは別物です。)

質問とは?

答えを持っていない人が、答えを持っている人に聞くこと。
これを質問と言います。

例えば、学校の授業で、生徒が

「先生!方程式が分からないので、教えてください!やり方、どうするんですか?」

と聞くのは、質問です。
答えを持っていない生徒が、答えを持っている先生に聞いているからです。

またコーチングも質問です。
なぜなら、答えを持っていないコーチが、答えを持っているクライアントに対して、問いかけることを通じて、その答えを引っ張り出すからです。

答えを持っていない人が、相手の内発的な、内側にある答えを引き出す。
これが質問です。

発問とは?

発問とは、質問とは全く逆です。
答えを持っている人が、答えを持っていない人に問うこと。
これを発問と言います。

いかに答えを持っていない人に、知的好奇心を与えて、いかにゴールまで引っ張り上げるか?ということです。

例えば、一例ですが。
私はインキュベーションセンターから頼まれて、起業塾の講師もしているのですが、例えば、生徒さんたちに、こんな風に聞きます。

「紹介ってどうしたらいただけますか?」

私自身、紹介が途切れない成果が出ているので答えを持っていますが、聞くことを通じて、私が持っている答えや、それ以上の答えに効率よく導くことが出来るわけです。

どういうことかと言うと。

この質問をすると、みんな「どうしたら紹介ってもらえるのかなぁ?」って考え始めます。

そして「自分のメリットが伝わったら」などと言うかもしれません。
また「自分が信頼されたら」「感謝されたら」などと思い思いに答えます。
そんな答えに触発されて「いや感謝じゃダメだ!感動させないと!」なんて答えも返ってきそうです。

もし、そうやって答えが返ってきたら、さらに。

「あなたのお客さんからの声って、クレームばかりですか?それとも感謝の声、どちらが多いですか?」と聞いてみます。
すると多くの人が・・・

「もちろん、感謝の声が多いですよ。感謝もされているし、信頼もされていると思います。」って答えが返ってきます。

「ってことは、あなたは、感謝もされているし、メリットも伝わっているし、信頼もされているんですね?」

「そうです。」

「じゃぁ、あなたって、今とっても紹介口コミがあるんですね?」

「う〜ん。」←これを引き出すのが発問の威力です。

簡単にまとめると「どうしたら紹介をもらえるんですか?」って質問しました。

そして自分自身で考えて、条件が3つ出ました。
さらに、
「その条件3つクリアしているんだから、あなたって紹介いただけているんですよね?」と聞きました。

すると自分自身が考えて導いた答え(条件)と、結論に整合性が取れずに、う〜んと首を振るわけです。

「あれ?考えていたこととは違う何かが必要なんだ!知りたい!なんだろう?」

この気づきに至るために、発問を通じて、知的好奇心をぎゅっと引っ張り上げるのです。
そして、さらに本質的な答えを自分で見つけるお手伝いをします。

こちらが意図して、ある答えや、それ以上の答えに導いているのですが、相手は『自分で気づいた!』と喜びを感じます。

自分で考えて自分で気づいたから自ら嬉々として実践する。
これが『発問』です。

なぜ発問が必要なのか?

発問は相手を自立させます。

発問によって、まず自分で考え始める。
それから知的好奇心をぎゅっと引っ張り上げる。
これが、その人の能力・自力を高め、ゴールまで引き上げるスキルなのです。

しかし、私たちはつい、答えを持っていると「こうです」とか「こうしたらいいよ」などと、言ってしまいがちです。

それで、うまく行けばいいんですが、うまく行かないことが多いんですよね。
返って遠回りしちゃうというか・・・。

実は、主体性を持って行動してもらうのが一番なのです!

『言われたから、教わったからやりました』っていうよりも『自分が考えて、自分で決断してやりました』っていうのがパワフルですよね?

だから、答えをいうのではなく・・・
問いかけを通じて、内側の答えを引っ張り上げることが大事なのだと、私は現場で日々、実感しています。

もちろん、みなさんすでに意識している・していないに関わらず発問を使っているのだと思うのです。

なので、さらに意識して磨いていかれるともっと自走するチームになるんじゃないかなって思います。
日々が実践の場です。

ぜひ、さらに意識しながら、試してみてくださいね!