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高松 秀樹

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第87回:正直者はバカを見る?

2022/08/13

首都圏を中心に130店舗以上を展開する食品スーパー「オーケー」さん。

「高品質・低価格」を掲げ、旬の知らせや価格変動の裏側にある状況などを「正直に発信する」など、売り場での誠実な情報発信を強化し、「安かろう、悪かろう」のイメージを覆し、「12年連続」で「顧客満足度が最も高いスーパー」に選ばれています。

とりわけ消費者から高い支持を獲得しているのが、「オネスト(正直)カード」なるお取り組み。

例えば、青果売り場のPOPでは、「南アフリカ産のグレープフルーツには、フロリダ産に比較して甘みが不足し、若干の酸味があります!」と、状態のネガティブ面も交え「正直に」お伝えしています。

オーケー広報によると、「オネストカード」は、商品の状態や価格に対する「正直な情報」を消費者にお知らせするもの、で、主に相場や天候の影響を受けやすい青果部門で掲示しているとのこと。

「天候不順の影響で、品質が良くない」など、販売にとっては不利になるような情報も「正直に伝えているからこそ、オーケーをご信頼いただけるのでは」と話しています。

スーパーのPOPは、売場でダイレクトに魅力を伝える「重要なツール」であり、通常は特売やセール品、広告の品といった「安さをアピール」するものが多くありますが、「オネストカード」のように商品の「背景情報」を解説する戦略は、「甘くない」といったあえてマイナス情報を知らせることで信頼を得ることにつながっているようで、ウェブやSNSでも好評のコメントが数多く挙げられ、「顧客満足度が最も高いスーパー」に選ばれているのも、「正当な評価」なのでしょう。

ちなみに、創業者の飯田勤さんは、創業120年を超える日本橋の酒卸問屋「岡永商店」(現:株式会社岡永)の経営者である飯田紋治郎氏の三男で、幼少期には、父親の使いっ走りとして「株の売買」を経験させられ、その結果は、「大した成果は生み出せないもの」、だからこそ、「実業の方がよっぽどいいんだぞ」という父の薫陶を受けながら、育っています。

そんな実直で誠実に「実業に向き合う姿勢」の継承は、他の兄弟にも、当然のこととして受け継がれ、長兄の飯田博氏は「日本名門酒会の最高顧問」、次兄の飯田保氏は居酒屋チェーン「天狗の最高顧問」、末弟の飯田亮氏は「セコムの最高顧問」として、皆が各業界にて活躍してこられたことは有名な話です。

父の教え、世の摂理に則った商いの姿勢は、様々な業界にて、多くの信頼を獲得することに繋がっているようです。

どうやら、真剣に「真っ当に」生きていれば、「正直者がバカを見る」なんていう世の中ではないようですね!