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第12回 何を学ぶか、どう学ぶか。

2021/03/04

知識は必要?

これまでの連載で自分がやろうとしている授業や研修の目的を見極めること、そしてその目的に合致した手段を選ぶことを、くり返し書いてきました。

定期連載最終回(次回から不定期更新)となる今回は、授業や研修のゴール設定として頻繁に議論の種になる「何を学ぶか」と「どう学ぶか」について書いてみます。

結論から言うと、知識や情報はとても大切です。
これまでの先行事例、理論、社会のルールなど、知っておく物事を考える際に便利なことはたくさんあります。
一方で、知識や情報は日々更新されるものでもあります。
知識を詰め込むような学習ばかりしていると、柔軟な思考ができなくなるとも言われます。

そこで、知識や情報を獲得するプロセスを重視した体験学習や、課題解決型学習が出てきます。
しかし、どんなに主体的に学んでも、最後に「先生のまとめ」という魔物が出てきて、それまでの学びを台無しにしてしまうことがあるのです。

主役は学習者

授業や研修の最後を自分が締めたい症候群に罹っている先生はたくさんいらっしゃいます。
知識や情報を伝えることだけが目的ならばそれでもよいのですが、自分事として今後も考えていって欲しい場合は、「まとめ」は学びを一区切りしてしまいます。

そうならないための工夫としておすすめなのが、知識や情報を伝えるタイミングを前倒しすることです。
導入→体験→まとめという構成から、
導入→体験①→まとめ→応用(体験②)→ふりかえりという、
最後を自分たちで締める形に変えることで、学んだことが日常につながりやすくなります(最後にもう1回まとめたくなるのはグッと堪えましょう)。

自分がつくった場をきちんとまとめるのも自分の責任だと考えるかもしれませんが、授業や研修は学ぶ側のためにやっていることです。
何を学ぶか(伝えるか)を明確にし、どう学ぶか(伝えるか)を工夫した上で、最後は学ぶ側に委ねるという手渡し方も大切にしてみましょう。