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深山 敏郎

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第90回 人間関係のレジリエンス(1)男女間のコミュニケーション①

2023/03/07

前回までは、職場組織、つまり会社単位のレジリエンスを扱いました。

前回はその中で「情報開示の迅速さ」というテーマについてお話してきました。
不祥事や事故が発生してからの情報伝達・開示がいかに大切かお分かりいただけたのではないでしょうか。
今回からはがらりとテーマを変えて人間関係のレジリエンスについてお話します。
今回からは人間関係のレジリエンスを扱います。
今回から何回か、「男女間のコミュニケーション」というテーマでお話をします。

婚活をする男女のコミュニケーション

「婚活」という言葉が流行語大賞にノミネートされたのは2008年のことです。
今から15年前ですね。

未(非)婚率が高まる中、企業内外で婚活をする男女に関しては重要な経営上のテーマになっているように感じます。
筆者が中小企業診断士になりたての時、成功している蕎麦店の社長に経営上の一番の課題を尋ねた時に、「従業員のお嫁さんの確保です。
誰かいい人がいたら紹介してください」と仰っていたことを覚えています。

当時のことですが中学あるいは高校卒業と同時に経営者の地元の縁故などから都内の蕎麦店へ就職する人を求めるのだそうです。
その際、ご両親には「将来きっと店を持たせてあげるから」と約束をするのだそうです。
10年、15年とお店で頑張って開業資金も1500万円から2000万円ほど本人が貯金して、店主も同額くらい出しても良いと考えていて、開業資金については何とかなるのだそうです。

ところがそこで問題は、そうした男性従業員にお嫁さんが来ないことなのだそうです。
これもやはり当時の話です。
まれにお嫁さんに「なっても良い」(ちょっと上から目線を感じますね)という女性が居ても「店に出るのは絶対いや」とのことです。
小さな蕎麦店は夫婦二人で切り盛りして何とか成り立つのだそうですが、これでは店舗を持たせられない。
その社長はそうした切実な状況を抱えていたわけです。

従業員のコミュニケーションスキルと婚活の成否

結婚とは何でしょうか。
理想の相手を探すためには、結婚コンサルティング会社に頼まなければならないのでしょうか。

アドラー心理学(個人心理学とも呼ばれ、どうすればその人が幸福に生きることができるかに焦点を絞って考える心理学)の権威で、数々の著書のある岩井俊憲先生は、「男と女のアドラー心理学」(青春出版社)の中で、このように書いていらっしゃいます。
「結婚相談所などでは出会いを探している女性へ『相手から与えてもらうことではなく、自分が何をできるか探しましょう』とアドバイスをしているところもあるようですが……。(中略)アドラーの著書に『協力』をキーワードにした、次のような定義があります。
『愛と結婚は、人間の協力にとって本質的である。その協力は2人の幸福のための協力であるだけでなく、人類の幸福のための協力でもある』」

また、岩井先生は同著の中で、「異性のみならず、人間関係全般のトレーニングとして、パートナー探しがあるのだと考えています」と仰っています。
つまりは、職場でのコミュニケーションにも活用でき、良好な対人コミュニケーションスキルを身に着けることによって、個人のレジリエンスが向上するのです。

できればパートナーを見つけるには、多くの友人の中から時間をかけて関係をはぐくみ、恋愛や結婚に発展することが望ましいとも仰っています。
筆者も自分の経験から同感です。

筆者が若いころ、多くの人とお付き合いをし、恋愛に発展したこともありました。
しかし、その数と同じくらい大きな失敗もしてきました。
今、振り返ってみると、そうした経験が自分をはぐくむきっかけになったと確信しています。

レジリエンスの高い人の特徴を詳しく知りたい方は、拙著:「レジリエンス(折れない心)の具体的な高め方 個人・チーム・組織」(セルバ出版)などをご覧いただければ幸いです。

 (筆者:深山 敏郎)
株式会社ミヤマコンサルティンググループ
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