HACHIDORI NO HANE(ハチドリのはね)HPトップ

益田 和久

ホーム > 益田 和久 > 記事一覧 > 第150回 DXの本来の目的は何か

第150回 DXの本来の目的は何か

2024/01/18

昨年末に某設計事務所のDX推進のご相談がありました。
お話を持ってきてくださったエージェントさんからお聞きするには、その設計事務所が所属するグループ全体としてのDX推進が親会社から打ち出されたとのこと。
DX推進自体は時代の流れからも必然と受け止めていらっしゃるようです。
ただDX推進を始めるお客様にありがちな「何から始めればいいのか」「どういったゴールを目指すのか」といったところで議論が停滞しているようです。
エージェントさんとどのように進めていくのかをお話して、まずは「DXとはデジタル技術を活用して儲かるしくみをつくることである」ことを再確認していただこうということになりました。
先週も書きましたが、DXはこの基本理念を理解することが重要だと思います。
「儲かる=収入増or支出減」「しくみをつくる=自動化、標準化」が大きな目的ですが、これらのことを通して働き方やビジネスモデルを変革することがゴールになります。
そもそも働き方やビジネスモデルは、業種や業界によって違います。
当たり前のようにやってきていたことが、周囲からみると合理性や効率性に欠けていることもあります。
「うちの業界はうちのやりかたがあるから」といって、他業界の変化や進化には目もくれなかったことも多々あります。
そうやってあまり気にもしていなかったことが、昨今の社会情勢の変化によって状況が一変しました。
デジタル化やSDGsの推進、コロナ渦対応によって「変化対応する必然性」に迫られているわけです。
頭ではわかっているけど、さてどうしようかと考えるのは、ある意味当然といえば当然です。
自分たちでは常識であり、ルーティンであり、当たり前の行動を見直さないといけないわけですから、なかなか難しい。
そうなると、他社はどうやっているのかというリサーチから始まるわけですが、規模や背景が違うと同じようにはいかないことも多いようです。

前置きが長くなりました。
その設計事務所向けの提案にあたり、先日社内で打ち合わせをしました。
弊社のビジネスパートナーに、一級建築士で建築専門学校の講師をしている方がいます。
IT関連も詳しいので、いつもはそちらで支援をしてもらっているのですが、今回はまさに「餅は餅屋」ということで、打ち合わせに入ってもらいました。
建設・設計関連のDX推進については、私も“聞きかじり”のレベルですので、設計事務所の仕事およびDX推進のイメージについて一から教えてもらいました。
知見や経験がないこともあり、具体的にイメージがわかない部分もありましたが、意外だったのは「仕事の8割くらいは自動化できるはず」といったことでした。
細かい作業が多々あり、それにとられている時間が実はかなりある。
これこそ標準化や自動化ができるはずだが、なかなか進まないのは、仕事の属人化が大きな原因だという話もありました。

このことを踏まえ、今回改めて必要だと感じたのが、業務プロセスの行動分解です。
一つひとつ細かな作業を拾い出し、業務全体を可視化することで、自動化や標準化すべき作業を特定していく。
そうすることで各人が本来、力を発揮すべき作業は何かがを明確になり、パフォーマンスが発揮しやすくなる。
このことこそが働き方を変えていくことにつながるのではないかと感じました。
以前マーケティングで学習した「パレートの法則」に、“仕事には肝要な部分が2割あり、重要度が低くほかの業務に支障を及ぼさない部分は8割ある”とありましたが、このことを鮮明に思い出しました。
ビジネス理論はいろんなところでつながっている、そう感じた今日この頃でした。