新入社員の皆さんにとって、入社直後の時期は、毎日が新しい情報の連続だと思います。
会社では業務マニュアルや手順書が用意されているとはいえ、それだけで業務が完結するわけではなく、現場での指示や注意点、暗黙知のようなものまで含めると、メモをとる機会は非常に多くなります。
学生時代を振り返ると、授業中に黒板の内容を写すような受け身のメモ取りが中心だったでしょう。
しかし社会人になると、上司や先輩の口頭での指示をリアルタイムで記録し、すぐに実務に落とし込む必要があります。
これは、慣れるまでに少し時間がかかるスキルですが、仕事を円滑に進めるためには不可欠です。
たとえば、電話対応の手順を先輩が説明してくれたとします。
その場では「わかりました」と返事をしても、いざ一人で対応する段階で手順を思い出せず、「もう一度教えてください」となるケースが少なくありません。
OJTリーダーに話を聞くと、「何度も同じことを聞かれる」「メモを取っていたはずなのに」という声が多く聞かれます。
なぜこのようなことが起きるのでしょうか?
理由は主に2つです。
1つは、そもそもメモの内容が不十分で、あとから見返しても要点が抜けていたり、自分でも読めないような字で書いてしまっていること。
もう1つは、書いた情報がどこにあるか分からず、探すのに時間がかかってしまうことです。
つまり、「メモをとること」自体が目的化してしまい、メモを“使う”という本来の目的を果たせていないのです。
メモはあくまでも手段。
メモをもとに疑問点を確認し、繰り返し見返し、自分の知識として定着させていくことが本当のゴールです。
この課題を解決するためにお勧めしたいのが、「リライト」の習慣です。
ここでいうリライトとは、自分が手書きでとったメモを、デジタルメモとして整理し直す作業のことを指します。
たとえば、ノートに書いた内容を、業務日報のアプリやメモソフトに日付やテーマごとに分類して入力するイメージです。
リライトは、できるだけこまめに行うのがポイントです。
一日分をまとめて整理しようとすると情報量が多く、正確に再現できなくなってしまいます。
なるべくその日のうちに振り返る時間をとりましょう。
デジタル化されたメモは、検索機能を使ってキーワードや日付で探しやすくなります。
スマホでもパソコンでも閲覧でき、上司やチームと共有・加筆修正することも可能です。
ただし、ビジネスの現場では、最初からスマホにメモをとることを快く思わない上司もいるため、まずは手書きでメモをとり、後からリライトするスタイルが基本になります。
一見手間に見えるこのプロセスこそ、情報の理解と定着を促進し、業務遂行能力を高める秘訣でもあります。
もちろん、職場の環境によってはすぐにデジタル化が難しいケースもあるかもしれません。
その場合でも、アナログとデジタルの良さを上手に組み合わせて、自分なりの効率的なメモ術を確立していくことが、ビジネススキル向上の第一歩です。