今夏、愛知県大会決勝で強豪の東邦高校を延長11回、
タイブレークの末6-5で破り、甲子園に初出場した豊橋中央高校。
豊橋市からは実に74年ぶりとなる甲子園出場。
東三河地区からの代表も50年ぶりと、地域住民も盛り上がる出場でした。
7月27日に決勝を戦い、甲子園の開幕は1週間後の8月5日。
この短期間で甲子園出場校は様々な手続きが発生します。
出場の挨拶回り、甲子園練習に向けたチームの段取り、ベンチ入りメンバーの決定、
応援をする生徒への連絡と段取り、移動手段の確保、寄付の受付など、
時間がない中で手際よく段取りを進めなければなりません。
初出場の豊橋中央高校にとっては大変な作業だったと思います。
その中で、甲子園のアルプススタンドで応援をするブラスバンドの確保も課題でした。
豊橋中央高校の吹奏楽部は部員不足で休止中。
初出場のチームを後押しするためにもアルプススタンドの応援は必須。
応援の有無で大きな違いがあるのは一目瞭然です。
そのピンチに友情応援を名乗り出たのが、決勝で敗れた東邦高校のマーチングバンド部。
甲子園常連校である東邦高校のマーチングバンド部は高校野球界でも有名で、
中でも「戦闘開始」は甲子園名物と言えます。
豊橋中央高校バージョンの戦闘開始を作成するとともに、
選手一人一人に応援曲を作成。
全31曲中で20曲は楽譜から作成。
全体練習は2日間という短い時間ながら準備を進めたそうです。
そして本番の甲子園では50名のマーチングバンド部が曲を奏で、
約2000人の大応援団を盛り上げていました。
結果は初戦敗退となりましたが、歴代優勝校を相手に堂々とした戦いぶりでした。
決勝戦で敗れた相手校の応援を快く引き受け、
準備期間がない中で最高の状態に仕上げて選手を後押しする。
自校を甲子園で応援できないのは残念だったが、愛知県代表校を応援できる嬉しさ。
また短期間での練習を重ねるにつれ、愛知県をともに戦った選手たちを
応援で鼓舞したいという気持ちが高まったと、東邦高校の生徒も話していました。
選手だけでなく応援席も一体となってチームの勝利に向かって挑む姿は
素晴らしいと感じました。
豊橋中央高校と東邦高校の敵味方を超えた絆。
暑い夏ではありますが、清々しい気持ちになったエピソードでした。