アサヒグループの「サイバー被害」から日が経った今も、混乱は収まっていません。
キリンビールは10月、「歳暮用ビールセット」の販売を17種から3種に絞ると発表しました。
アサヒ商品の出荷減によって、キリンへの受注が急増。
「安定供給」を優先する判断です。
サントリーやサッポロも一部商品の販売を中止し、ビール大手4社が揃って商品数を削減。
「歳暮商戦」への影響は避けられそうにありません。
さらにネスレ日本は、通販サイトでの販売をほぼ全面停止しています。
配送を委託していたアスクルが、同様の「ランサムウェア被害」を受けたためです。
いずれのケースも、一社の障害が他社に波及し、供給網が連鎖的に揺らぐという構図を示しています。
サプライチェーンが複雑に絡み合う現代においては、「止まらない設計」が経営の最重要テーマとも言えるでしょう。
効率化や集中管理の影にある脆弱性。
その対策は、代替ルートの確保、アナログ対応の訓練、BCPの実効性の見直しといった、地道な備えにかかっているのではないでしょうか。
今回の一連の事例が、各企業にとっての「供給の設計」を見直す契機となることを願うばかりなのです。