HACHIDORI NO HANE(ハチドリのはね)HPトップ

長谷川 満

ホーム > 長谷川 満 > 記事一覧 > 第10回 人事は先手必勝で

第10回 人事は先手必勝で

2021/02/17

今回は、「人事は先手必勝で」について、書かせていただきます。

経営者の頭にあるのは、まず第一に「本業をいかに安定させるか」といった問題です。
資金繰りを中心として、お金の問題は真っ先に直面します。
いわばお金は見えやすく、手を付けやすい問題です。

ところがそうこうしているうちに、次に必ず人の問題が浮上します。
売上を伸ばしたり、会社を大きくしていくためには、増員が不可欠だからです。
多くの企業で人事への投資に躊躇する理由は、お金をかけて人員を採用するという行為に即効性が欠けるからです。

つまり、募集をかけてもなかなか良い人が集まらなかったり、採用してもすぐには育たなかったり、現場でトラブルを起こしてしまったりなど、お金を投じた後も時間や手間がかかるため、つい後回しにされてしまいます。

そうかといって、それをそのまま放置していたらどうなるのでしょう?

たとえば突然、ベテランが会社を辞めてしまうと、誰かが対処しなければいけなくなります。
突然辞めた社員と、特に懇意にしていた顧客などがいた場合、対応が遅れてしまうことは、その顧客との関係にもヒビが入りかねず、人の問題が会社の信頼問題にまで発展する恐れがあるのです。

人件費というのは経営上、かなりの比重を占めるため、なるべく抑える方向に圧力がかかります。

しかし、今は回っているからといって放置しておくことは、会社の成長を妨げる要因になったり、今いる人員に過度の負担がかかったり、急なトラブルに見舞われた際にも対処できないといった事態に陥りやすくなります。
人事は手間がかかるからこそ、問題が表面化してからの対応では後手後手になりやすいのです。

結局、ことが起こってからの対処というのは【治療】と同じです。治療して完治すればまだよいのですが、後遺症が残ったり、そうでなくても痛い思いをし、余計な出費がかかります。

本来は余裕のあるうちにきちんと仕組みを整えることが大切です。

採用でも育成でも、先に仕組みを作っておくと、組織に余裕が生まれます。
要は、一杯になって溢れ出る前に、あらかじめ箱を広げておくことです。

受け入れる体制にしておくことで、人は必要に応じて増やせるようになるし、突発事態にも対応可能になります。
会社も売り上げも「自分の手の届く範囲に抑えておく」と決めているならともかく、今後も会社を発展させていきたいと考えているならば、早めに手を打っておくのが望ましいでしょう。

これを【予防人事】と言います。

何でも自分の手で解決しようとしていないでしょうか?
「採用のミスマッチ」や育成、仕組み作りなど、憂慮する部分はプロの手を借りるのも一案です。

私は独立以来、中小企業の社外人事部長として会社に入り、新卒1人分の給与程度で人事の仕組み作りのお手伝いをしています。

この仕事を通じ、どのステージにいる企業であっても、人に関する悩みは尽きないということを、日々実感している次第です。