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星 寿美

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第7回 社員が辞めない組織の作り方

2021/05/30

教育が大事ということは、よく言われますが。
教育というと『研修やOJT』などを連想する方もいらっしゃるかもしれませんね。

しかし、教育が大事という場合の『教育』とは、研修やOJTなどのことではありません。
社員が辞めない組織、社員が成長する組織にとって大事な教育とはなんでしょう?

環境(風土や関係性)が人を作る

私は、どんな組織と関わる場合も、まずは『関係性の質』をあげることに取り組みます。

具体的には、人間関係の問題があれば、そこをまず解決し、それから意見を活発に出し合い、成果につながる行動ができる会議を実施しています。
何事も、人間関係が良ければうまくいくし、良くなければうまく行かないからです。誰でもよく知っている、とてもシンプルなことですね。

もちろん、仲良しグループを作るという意味ではありません。
関係性の質とは「ありのままを受容しあえる関係」のことです。もっと砕いて言うと「ふっと思ったことを、ふっと言える関係」のことです。

マサチューセッツ工科大学教授のダニエルキム氏が提唱する『成功の循環モデル』でも言われていますが。
(『ダニエルキム氏 成功の循環モデル』で検索すれば参考文献がたくさん出てきますので、ぜひ参考にしてくださいね。)

今までは、結果を出すために、行動に着目していた。例えば、行動量を増やすとかやり方を変えるなど。そうしてPDCAを回していた。しかし、成果が出づらい場合が多い。
その理由は、結果の質には、関係の質が大きく影響しているから。

私は、この成功の循環モデルのことを、ほんの数年前に知りましたが、それまでの10年間に結果を出した実例を振り返ると、全てこの成功の循環モデルにあてはまっていました。

例えば「仕事でミスした!」「いいアイデアが浮かんだ!」いずれの場合でも。
関係の質が悪ければ、どちらの場合も「言わないでおこう」となります。関係の質が良ければすぐに言えますよね。
まさにそれが思考の質です。
関係の質がギスギスしていたら隠そうとしたり、事なかれ主義になります。

逆に、関係の質が良ければ、ミスもアイデアもすぐに報・連・相できて、解決策が出たり、さらにいいアイデアを出し合えます。
それが思考の質。だから行動の質も上がって結果が出ます。

まさに、人は、いる環境(関係性の質)によって自分の出し方が変わるということ。
居心地のいい場所では自然に振る舞えるのに、居心地の悪い場所では自分らしくいられない経験は多くの人がしていると思います。

だから、一人一人が能力を発揮し、お互いに成長し、成果を出せる環境(=関係の質)に変えればいいのです。
では、関係性の質をあげるにはどうしたらいいのでしょう?

それは大きく2つの要素があります。

1.ありのままを受容し合う関係

今までの教育は理想の形や正しい答えに人を当てはめる教育でした。
それは工場労働者を育てるやり方です。

安定期の時代はその教育は非常に機能し、高度経済成長をもたらしました。
しかし、時代はもうとっくに変わっているのに教育が変わっていないのです。

これからは、不透明な時代。
答えを自分で探せる人を育てないといけません。
そのために、理想の形や正しい答えに人を当てはめるのではなく、ありのままを受容し合うことで、それぞれの能力を引き出し、お互いに成長しあうことが必要不可欠になっています。

実は、私はその教育を実践して34年です。
実践のキッカケは、児童指導員だった頃、指示命令型の教育に違和感を覚え、対話型にするなど、教育現場に変革を起こしたことです。

その頃は、なかなか理解されず「ダメダメ先生」と呼ばれ、非常に苦労しました。
しかし、子どもたちが実際に変化することで認められるようになりました。
それから企業の中でも実践し多くの成果を出しました。

あれから30年以上が経ち、今はやっと、さまざまな『自走する組織の本』などがベストセラーになるなど、時代そのものが変わってきました。

「今までの『正しい答えありき』の教育ではこれからの不透明な時代にはもう対応できない。ありのままを受容し合い、お互いに成長しあえる『環境を作る』という教育が必要だ!」と気づいた経営者たちが、成果を出している時代に入っています。

2.言葉が世界を作る

人の自尊心を満たす言葉や、やる気が出る言葉を使うことで『風土』と言う環境になっていきます。
もちろん、それは『前向きな言葉だけを使う!』や『熱く語れ!』などと言うことではないのです。

たまたま、そういう性格で、その人らしくした結果、熱いのでしたらいいのですが、がんばってやろうと思ってやってもうまくいきません。

そういえば、一時期『プラス思考』と言う言葉が流行った時、私は違和感を覚えていました。
マイナスなことを見ないようにして、プラスに考えよう、みたいな風潮だったからです。
そうではなく『ありのままを受容する。』それがポイント。

例えば、
「あぁ、もうダメだ。」とため息をついている部下に対して、
「そう感じているんだね。どうしてダメだって感じているの?」とありのままを受容し、ありのままを理解しようとすることが非常に大事です。

「あぁ、もうダメだ。」と言う人に対して「そんなことないよ!」「元気出せよ!」などの対応は一見プラス思考で励ましているように見えますが。

逆効果なことは非常に多いです。
私は、若い頃、それで失敗した経験があります。

「もう、私なんて必要ないよ。」「もう辞めたい」などの言葉に「そう感じているんだね。」と、ありのままを受容することがまず大事。

ありのままを受容し続けていると、やがて本当に大切にしている価値観や想いを言語化できます。
その本当に大切にしている価値観や想いを言語化できると、それが世界になっていきます。

言葉が世界を作る、と言うのは。
表面的に前向きな言葉を言えばいい、と言うことではなく。
言動一致していることが大事。
特に影響力の強い経営者こそ、ありのままの言葉、言動一致が、これからの時代にはとても重要です。

どんなに笑顔を作っても、腹の底で怒っていたら、それが伝わっていますよね?
人間ってみんな超能力者なのではないかと思うほどです。

そして、部下・生徒・子どもからは、丸見えです。
だから、上にたつものが『裸の王様』にならない唯一の方法は、自分自身がありのままである、と言うことです。

その前提の上で、自分を含めた、人の自尊心を満たす言葉、人がやる気になる言葉を使うと、世界は見違えるほど変わります。
言葉が世界を作っているんだなぁ、と実感できるでしょう。

社内・社外・プライベートなど様々な人との『信頼関係』を構築しながら、事業を成長させることが経営者の成功だと私は思います。
そんな経営者がどんどん増えている時代に入ってきたなぁと肌で感じているのです。

土台となる『風土』あっての研修やOJT

ありのままを受容し合う関係性の質を上げることで、自分の組織や仕事に誇りを感じ、仲間を信頼し、自ら成長したいと思う、そう言う『風土』があって、その風土の組織に対して『研修やOJT』を行うと、それは非常にいい成果につながるでしょう。

まずは風土という土台あっての成果だと、私は仕事を通じて日々実感しています。

今までは、教育の形(前提)が一つだったので、考える機会がなかった社会でした。
時代が変わり、教育の形(前提)、ここを考える時代がきました。

この記事が『社員が辞めない!』だけではなく『社員や組織が大きく成長し続ける!』ために【教育そのもの】を考える機会になれば幸いです。