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岩田 徹

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第254回 高いところに基準を設定する

2025/10/31

この夏、東京で開催された世界陸上。
世界のトップアスリートが東京で鎬を削り、白熱した戦いを繰り広げました。
日本人選手も多く出場し、世界のトップと堂々と渡り合う姿に感動をもらいました。
たとえ日本でトップ選手でも、世界の舞台では大きな壁に跳ね返され、
悔し涙を流す選手も多くいました。
その中で、女子800メートルに出場した久保凛選手。
高校3年生にして出場権を獲得し、初めての世界陸上の舞台で世界のトップ選手と戦いました。
久保凛選手は800メートルの日本記録(1分59秒52)を保持し、
日本国内ではもはや敵なしとも言えるくらい、800メートルでは強さを発揮しています。
高校3年生、しかもサッカー日本代表の久保建英選手のいとこと、
話題性は十分で、注目度も高い選手です。
しかし世界陸上本番、800メートル予選では思うような結果が残せず、
2分2秒84で7着となり、予選突破とはなりませんでした。
自己ベストでもあり日本記録でもある持ちタイムで走ることができれば、
予選突破はできましたが、やはり世界の舞台は簡単ではありません。
スタートしてすぐ、体格も瞬間的なスピードも勝る海外選手が先行し、
久保選手はそれらの選手を後ろから追走する形で序盤が始まりました。
一旦隊列ができると先頭選手は少しスピードを緩めつつ周囲を牽制。
久保選手はインコースでできるだけ最短距離で走ろうとするも、
海外選手に囲まれて、前に出ようにも出ることができず追走する形に。
ラスト1周に入り先頭集団を走る海外選手は、
予選突破ラインを保持する形でペースを上げ、後続選手に付け入る隙を与えません。
久保選手も前をかわそうとするも進行方向を消されるなど、
最後の直線勝負に持ち込むしかない状態となりました。
しかし最後まで前を交わすことができず、自己ベストからは3秒も遅いタイムでゴール。
無念の予選敗退となりました。
レース後のインタビューで久保選手は、
「前半から全然うまくいかなくて、最後まで後ろの方で思い切ったレースができなかった。」
と言いました。
400メートルトラックを2周、約2分という短い時間の中に、
世界のトップ選手同士の見事な駆け引きが展開され、
自分の思い通りにレースを進められない選手は無駄に体力を削がれ、
精神的にも追い込まれるというレースだったと思います。
世界陸上の予選敗退後、国民スポーツ大会に出場した久保選手。
800メートルではスタートから先頭を譲らず優勝したものの、
世界の壁を痛感した久保選手は思い通りのレース展開と結果を出せなかったことに、
悔しさを表しました。
すでに目線は国内になく、世界のトップレベルでどう戦うか。
世界のトップに基準を置いて、再スタートを切っていました。

どういったレベル、基準で自分を高めていくのか。
これは仕事にも言えることです。
高いところに基準を置いて、自分を高め続けることが大切ですね。

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