「ポテトチップス」と言えば、スーパーで気軽に買える「薄利多売」の象徴のような商品です。
ところが、その常識を覆す動きをしているのが「湖池屋」さん。先日、「世界最高クラス」とも言われるフランス産の高級じゃがいも品種「アグリア」を使用したポテトチップスを発売したのですが、まさにその象徴です。
仏産の「アグリア」は味の濃さとホクホク感が特徴で、本国では「高級レストラン」でも使われるほどの食材。
それを「ポテチ」にする。
この発想自体が面白い。
「湖池屋」は、国内では北海道の一部農家とタッグを組み、仏産のDNAを引き継ぐ「アグリア系」のじゃがいもを国産化し、「安定供給」の体制も整えています。
単なる輸入原料に頼らず、自社で国内生産を進めるあたりに、商品だけでなく「物語」としての価値も感じさせます。
このような挑戦は、「薄利多売」に対して最近にわかに注目されている「厚利少売」という考え方と重なります。
より良いものを、より適切な価格で届ける。売価が高くても「これは特別な一枚だ」と思えば、財布の紐が緩む人は一定数いる。
もちろん「できるだけ安くお腹を満たしたい」という消費者もいますが、むしろそこを割り切り、付加価値をきちんと伝えるブランドが選ばれる時代になりつつあると感じます。
「湖池屋」にしても、国内ポテトチップス市場は競争が激しく、価格勝負だけでは「消耗戦」に陥るだけ。
その中で、素材と産地にこだわった「高級ポテチ」で別の土俵をつくる。
これは地域の小さな工房や専門店にも通じる発想でしょう。
大量に作れないなら、高くても買ってくれるお客様に届くようにする。
それは、大手メーカーであっても、地場の小さなプレイヤーであっても、これからの「商いのヒント」になる。
一袋のポテチに、味と物語と価値を詰め込む。
「安さ」ではなく「この味だからこそ食べたい」と思わせる逆張りの一枚。
「湖池屋の挑戦」は、スナックの未来を少し変えるかもしれませんね。楽しみです!