私がいろいろな中小企業の社長と
お話をしていて、
よく耳にするのが
「うちにも理念はあるけど、
正直、現場ではあまり意識されていない」
という声です。
オフィスや会議室に額縁で掲げた理念。
立派な言葉が並んでいても、
それが社員の行動や判断基準に
結びついていなければ、
単なる“壁の飾り”になってしまいます。
では、どうすれば理念を
現場の行動に落とし込めるのか。
私が関わってきた企業の事例を交えてお伝えします。
1. 理念を「自分の仕事」に置き換える
ある製造業の社長は、
理念に「お客様の期待を超える製品づくり」を掲げていました。
でも現場では「品質を落とさず納期を守ること」が精一杯。
そこで全社員で
「自分の仕事で“期待を超える”とは何か」
を考えるワークを実施しました。
営業は「試作品を早く届ける」、
製造は「納品時に改善提案を添える」など、
職種ごとに具体的な行動案が出て、
翌月から実行されました。
2. 行動基準に具体化する
ある建設会社の理念は「誠実であること」。
しかし“誠実”の解釈は人それぞれです。
そこで社長は
「誠実とは、約束の期限を必ず守る」
「わからないことは正直に質問する」
「間違えたらすぐ報告する」
と行動基準を明文化。
曖昧な価値観が、現場で判断できる基準になりました。
3. 評価制度に紐づける
ある飲食チェーンでは、
理念の一つが「お客様に笑顔を届ける」でしたが、
忙しい時ほど接客が機械的になっていました。
そこで評価項目に
「笑顔で接客」
「お客様の名前を覚えて声をかける」を追加。
すると、スタッフ同士で
「今の笑顔よかったね」と
声を掛け合うようになり、
リピーター率が向上しました。
4. 日常会話で繰り返す
理念は発表会で一度話すだけでは浸透しません。
あるIT企業の社長は、
1on1や朝礼で必ず
「今週、理念を体現した出来事は?」
と社員に聞きます。
「昨日の納品対応、
まさに“期待を超える価値”だったね」
とリアルタイムで
フィードバックすることで、
理念が生きた言葉になっています。
5. 事例共有で文化にする
物流会社の社長は、
社内掲示板に「理念実践ストーリー」
というコーナーを作りました。
「ドライバーAさんが荷物を届けた際、
お客様が高齢で玄関先まで運べない様子だったので、
室内まで運び入れた」
こうした行動事例を
写真付きで共有することで、
「うちの理念ってこういうことか」
が腹落ちしていきました。
理念は社長の想いを社員に伝える“羅針盤”です。
しかし、掲げるだけでは動きません。
理念を行動に変えるには、
①職務ごとに具体化する
②行動基準を明文化する
③評価に反映する
④日常会話に組み込む
⑤事例共有で文化にする
この5つを繰り返すことが大切です。
社長が率先して理念を語り、
日常の会話で何度も触れ、
行動と結びつければ、
理念は必ず現場で息づきます。
理念が壁の飾りから、
会社を成長させる原動力に変わる瞬間です。
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