大きな盛り上がりを見せて閉幕した世界陸上。
国立競技場を舞台に熱い戦いを見せてくれた1週間。
本当に多くの種目で日本人選手が奮闘する姿に勇気をもらいました。
数ある競技の中で印象に残った競技、選手として、
3000メートル障害の三浦龍司選手がいます。
三浦選手は順天堂大学時代から3000メートル障害で日本トップの実力を持ち、
国際大会に出場していた選手です。
東京オリンピックでも同種目で7位入賞という、
日本選手初の快挙を成し遂げた選手です。
今回の世界陸上ではメダル獲得できるのか、と注目と期待を集めていました。
迎えた本番。
予選1組でスタートした三浦選手。
どの選手も決勝進出を目指して周囲を警戒しスローペースで始まった予選。
互いに様子を見ながら牽制し合い、いつペースを上げるのか、
最後まで力を温存して、短い距離をスプリント勝負するのか。
ヒリヒリする駆け引きが続いていました。
三浦選手もどう走るのか迷ったそうですが、レース中盤から積極的に仕掛け、
周囲を揺さぶり、一人また一人と先頭集団から脱落し、3位で決勝進出を決めました。
そして決勝本番。
先頭集団で走る三浦選手。
満員の国立競技場の声援は三浦選手一人に向けられているのではないか、
と思えるほどの大声援を受け、ラスト1周を迎えました。
急速にペースアップする先頭集団。
ゴールに向けて最短距離となるインコースを狙って殺到し激しくなる先頭争い。
その中で徐々に順位を上げる三浦選手。
残り200メートルを切った段階で先頭から3番目のメダル圏内を走り、
迎えた最後の直線。
さらにスピードをあげ、より輝きの良いメダルが見えてきた最終障害を越えた時、
後方の選手と足が交錯したのかバランスを崩しました。
それでも必死に立て直した次の瞬間。
後方選手の腕が三浦選手の腕を引っ張る形になり急失速。
順位を下げる形となり、結果8位でゴールしました。
接触した選手が銅メダルを獲得したため、妨害行為ではないか、と、
ネット上でも大騒ぎになりました。
しかしレース後の三浦選手は一切そのアクシデントには触れず、
残り数十メートルまで見えてたが思うようにいかなかった、と爽やかに語りました。
さらに、地響きのような声援、鼓膜が破れるのではないかと思えるような声援の中、
東京世界陸上で走ることができ幸せでした、と晴れやかに話しました。
他選手との接触もこの競技の一つの要素。
そういったことに関係なくトップを突き抜けたいという思い、覚悟。
過去は変えられないが未来は変えられると、
競技終了後にすぐに次に視線を向けていた三浦選手の潔さに感銘を受けました。
言い訳や愚痴を言うのではなく、矛先を自分に向けて未来を変えようと努力する。
三浦選手から大切なことが学べた瞬間でした。
次の大舞台での三浦選手の活躍を楽しみにしたいと思います。