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高松 秀樹

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第271回:若手40万円時代の光と影---日韓雇用モデルの分岐点

2026/02/21

今春も初任給40万円超のニュースが躍っています。
サイバーエージェントが42万円、サイボウズが40万円と、若手争奪戦は一段と過熱しています。
一方、海の向こう韓国では、大企業の初任給が日本を4割上回りながらも新卒採用は縮小傾向にあり、公開採用を続けるのはサムスン電子が象徴的存在とされています。
高賃金でも入口が狭い社会と、入口を厚くする一方で中腹が沈む社会。
両国の姿は対照的です。

日本では若手への大胆な投資の裏で、氷河期世代の実質賃金が伸び悩んでいます。
流動性の低い中高年層には需給逼迫の恩恵が届きにくく、55歳以上の賃下げで原資を捻出する例も見られます。
韓国では逆に、即戦力偏重が若者の就職活動の長期化や海外流出を招いています。
いずれも「世代間の資本配分」という経営判断の帰結と言えるでしょう。

本質的な問いは、企業がどの時間軸で人材を捉えるかにあります。
短期合理性に傾けば、若手か即戦力のどちらかに資源が集中し、中間層は空洞化します。
しかし、組織の競争力は“層の厚み”で決まります。
入口への投資と同時に、途切れたキャリアを再接続する再教育や、介護と両立できる働き方の設計にまで踏み込めるかが問われています。
賃上げは目的ではなく、人的資本の再配分という戦略の一部にすぎません。

日韓の現在地は、持続的成長に向けた「人材構造の再設計・雇用モデルの組み直し」の緊急性を、静かに私たちに突きつけています。

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